水溶性離型剤の塗布の方法
薄肉の鋳造の話が出るようになって来ています。
この写真は15年程前に、油性離型剤を使って鋳造したものです。
現在は、水溶性離型剤原液塗布にて、鋳肌の綺麗な薄肉製品が出来る様になりました。
公開日 2008年8月4日
水溶性離型剤の塗布方法について
水溶性離型剤の流量は、金型温度に大きく影響します。もともと、金型表面を外冷するために水溶性離型剤を大量に吹き付けています。そのため、離型剤の供給量が変わると、金型温度も変動します。
金型の内冷を強化せずにサイクルタイムの短縮を図る場合、離型剤の量を増やすことで対応していますが、大型機になるとその使用量は非常に膨大です。小型機でも、250ccを超えることがあります。
20年前からこの方法はほとんど変わっておらず、現在でも金型のパーティングライン(P.L面)から離型剤が滝のように流れ落ちる光景を目にします。特に、水鉄砲のように噴射している部分の外冷処理は、ダイカスト機械加工の刃物に切削油をぶちまけているように見えます。
「あの部分には離型剤をかけなくてもできるのに!」と、サイクルタイムが上がっても、私はいつもそう感じています。「水溶性離型剤はただなのか?」「排水処理はただなのか?」と疑問に思うこともしばしばです。
信頼性のあるダイカスト製品を作るにはどうしたら良いのでしょうか?現在のようなやり方では難しいです。金型冷却が適切に行われておらず、離型剤塗布のための圧送装置の精度や離型剤の希釈精度も不十分だからです。結果、「とりあえず大量に吹き付けておけ」という管理姿勢が続いているように思われます。20年が経った今でも、「とりあえずぶちまけておけ」という状況は変わっていません。
こうした現場では、「ダイカストの現場はこんなものだ」という認識が定着してしまっているため、そこで働く作業者に「改善案」を出させても、「きれいにしたい」というような提案はあまり出てこないことが多いです。20年前と同様に現在も、作業服の汚れ具合は変わっていません。しかし25年前の作業服はもっときれいだったのです。それは、ハンドスプレーを使って、必要な部分にだけ吹き付けていたからです。
以上。